1 地球温暖化と気候変動
地球温暖化は、人間活動の拡大により二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素等の温室効果ガスの大気中の濃度が増加し、地表から放出された熱の宇宙空間への放射量が減少することで、地表面の温度が上昇する現象をいいます。
太陽から届く日射エネルギーの約7割は、大気と地表面に吸収された熱に変わり、地表面から放射された赤外線の一部は大気中の温室効果ガスに吸収され、地表を適切な温度に保っています。しかし、近年の人間活動により、大気中の温室効果ガスの濃度が急上昇しているため、以前よりも赤外線が温室効果ガスに吸収され、その結果、地表の温度が上昇しています。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による第6次評価報告書では、20世紀半ば以降の温暖化が人間活動の影響によるものであることは疑う余地がないとされています。また、現時点を超える政策的な緩和策(温室効果ガス排出削減対策)を行わない場合、21世紀末には、世界の年平均気温は、3.3~5.7℃上昇する可能性が高いと予測されています。
このような中で、近年、気温の上昇、大雨の頻度の増加、農作物の品質低下や熱中症リスクの増加など、気候変動及びその影響が全国各地で確認され、今後さらなる拡大も懸念されています。
栃木県でも、令和元(2019)年度は、梅雨明け後の連続する猛暑により熱中症搬送者数が1,164人に上ったほか、10月には令和元年東日本台風に伴う記録的な豪雨により県民の生命や財産に大きな被害が発生しました。
2015年12月に採択された「パリ協定」(環境省HP)では、温室効果ガス排出削減の長期目標として、世界的な平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃未満に保つ(2℃目標)に加え、この目標を達成したとしても避けられない気候変動による影響に対して、適応能力を向上させることが盛り込まれています。
日本では、適応策の推進のため、2018年6月に気候変動適応法(環境省HP)が制定されました(同年12月施行)。
2 気候変動の現状
(1)気温の変化
宇都宮市の年平均気温は、都市化の影響も受け、100年当たり約2.53℃上昇しています。
県内全域でも気温の上昇が確認されており、40年前に比べて1~2℃程度増加しています。
【地点別年平均気温の経年変化(1985~2024年)】
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図.年平均気温の経年変化(1985~2024年)
(気象庁データから作成)
また気温の上昇に伴って、県内各地で真夏日や猛暑日、熱帯夜の増加が確認されています。
【地点別真夏日の経年変化(1985~2024年)】
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図.真夏日日数の経年変化(1985年~2024年)
(気象庁データから作成)
(2)降水量の変化
年降水量については、年ごとの変動が大きい時期が見られるものの、長期的な変化傾向は見られません。

図.年降水量の経年変化(1985~2024年)
(気象庁データから作成)
一方で、県内における短時間豪雨(1時間降水量50mm以上)の発生回数は、観測回数が少なく、変化傾向を確認することができないものの、全国約1,300地点における短時間豪雨の発生回数は、10年当たり28.2回増加しています。
3 将来の気候変化の予測
(1)気温の変化
追加的な二酸化炭素排出量を抑制する緩和策を講じない場合(SSP5-8.5)、21世紀末には、20世紀末と比べて、県内全域で約4.5~5.5℃※上昇すると予測されています。
※使用する気象モデルにより異なる
また、気温の増加に伴って、真夏日や猛暑日、熱帯夜の日数等も増加すると予測されています。
(2)降水量の変化
県内における短時間豪雨(1時間降水量50mm以上)の回数は、気温が4℃上昇(SSP5-8.5で2090年頃に相当)した場合、現在の2倍以上になる増加すると予測されています。
4 気候変動により生じる影響
気候変動により生じている影響について、(1)農業・林業・水産業、(2)自然災害、(3)健康の3つの分野に分けて説明します。
(1)農業・林業・水産業
近年、気候変動による農作物や水産物などの生育障害・品質低下や、これまでに経験がしたことがない規模の豪雨等による農作物・農業施設等への被害が発生しています。
例えば、水稲では、全国で気温の上昇による品質の低下(白未熟粒の発生、一等米比率の低下等)等の影響が確認され、極端な高温年には収量の低下も見られています。
(2)自然災害
短時間豪雨や大雨の頻度・強度は増加・増大傾向にあり、毎年のように台風や豪雨等による水害や土砂災害が頻発する等、人命への影響を含む甚大な被害が発生しています。
令和元年東日本台風では、県内19観測地点すべてで日降水量が200mm以上の豪雨となり、県内各地で土砂災害や洪水等による甚大な被害が発生しました。
(3)健康
近年の気温上昇で、熱中症による救急搬送人員、医療機関受診者数・熱中症死亡者数の全国的な増加傾向が確認されています。熱中症は、高齢者だけでなく、炎天下で仕事・スポーツ等の活動をする若・中年層での発症も多数報告されています。













